禁酒

毎日酒を飲むほどではないが私は酒が好きである。
とても好きだ。だった。
ところが肝臓の検査で悪い数字が出てしまった。
由々しき事態である。
飲むならカメラも酒も変わらないだろうと思っていたが、このまま一生酒を飲めないのも嫌である。
癪だがお医者様の言うことを聞いてしばらく酒を抜いている。
ここしばらく酒を飲んでも美味しいと感じなくなったと思っていたが、なるほどとなった。

人間そんなものだと思うが制限されたら意外と飲みたくなるものだ。
是非とも再検査に異常がなく体調が今後良くなれば今すぐビール樽になりたい。来世でもいいが。
そんな気持ちだ。

禁じられていることに人間はどうして惹かれるのだろうか。
飲むなと言われたら飲みたくなるし、吸うなと言われたら吸いたくなる。
やれと言われたらやらないし、やるなと言われたことは大概やってしまう人種だ。
当分はないだろうが、仮に入院したらプルームテックを絶対に密輸すると思う。
生き急ぐな、死ぬには早すぎる、とは言うがそんなもの死んでいるのも同然である。
食いたいときに食べて、寝たいときに寝る。
健康で文化的な生活なんざごめんだ。

元より薄暗い背徳感で生きているような人間だ。
あと3日もしたら再検査を待たず多分缶ビールでも開けていそうだ。
そのぐらいの方が自分は長生きできるかもしれない。